投稿原稿 & publicity 豊田裕章(豊田歯科医院院長)  TOYODA DENTAL CLINIC
はじめよう!食育・食生活指導 1 & 2  (2007・12・30 掲載)
大阪府歯科保険医協会新聞に執筆した5回にわたる連載











平成19年8月から12月にかけて、大阪府歯科保険医協会新聞に執筆した5回にわたる連載です。歯科医師向けにはなっていますが、一般の方々にも役立つ内容も含まれています。どうぞご一読下さい。


はじめよう!食育・食生活指導・1

 いかに医院で食育・食生活指導を実践していくか、5回(基礎編2回、実践編3回)に分けて、書かせていただく。まずは、食育の基本的な考え方の確認、これが大切だ。ここをあいまいにしたり、間違ったりすると、あとに続く実践法が、偏ったり間違ったものになってしまうので、気をつけなければならない。

1、食育で何を育てるのか?

 食育とは、何を・どれだけ・どのようにして、誰と・どんな状況で、食べるか、ということを見つめ直し、まともな正しい食生活を実践していくことにより、@丈夫な体 A思いやりのある豊かな心、だけにとどまらず、B地球全体のことを考え、多様な生き物・豊かな自然環境を守っていこうと行動する生活様式、を育成し確立していくこと と定義する。
人間の活動と地球・自然環境とのバランスが壊れていく状況の中で、ヒトだけのこと@Aだけで許される時代は終わっている。Bなくして「食育」は成り立たずである。

2、何をどのようにして食べればよいのか?
 
 第一に「できるだけ、近くのものを食べものとして活用・利用し、気候・風土に合った方法で食べる」ことだ。日本では、お米・大豆・植物性発酵食品を中心とした食生活が基本である。
そして、咀嚼回数・唾液分泌量を増やしながら嚥下するためには、「もともとの姿のわかる食べものをできるだけ多く食べる」こと、食べものというのは、自分のエネルギーを使って、咀嚼という手段を用いてその形を変えること、がとても重要なのである。

また「口中調味」〜うす味のごはんとしっかりした(だしの)味のついたおかずを、口の中で混ぜ合わせながら食べる〜というやり方が、早食い・おかずの食べ過ぎ=脂質のとりすぎ、を防ぎ、よく咬みよく味わう食べ方を形成
するのだ。
自らの歯や体の健康を守る食生活を実践するためにも、環境汚染を減らすためにも、まずこのルールを、子どもたちにも大人(保護者・親)にも、しっかり伝えるべきである。


はじめよう!食育・食生活指導・2
                    
1、地産地消より土産土法
 
食の出発点は、ヒトも含めて動物は、他の生き物の生命をいただいて食べているということだ。それゆえ、食べ物=他の生き物への感謝を忘れてはならない。そして、

@近くの物を食べること(地産地消)は、栄養素のロスを減らし、安全で地球環境を汚しにくい食べ方につながり
A身近な(風土・気候に合った)やり方で食べること(土産土法)が、自らの体質(遺伝子のタイプ)に合った、歯にも体にも良い食べ方
になるのだ。

 @のみだと農業&環境問題に偏りがちで、@とAつまり産地と方法がセットになることで、健康問題もクリアできるのだ。輸入小麦のパンより国産米のごはん、パスタ・ラーメンよりうどん・そば、スープよりみそ汁、チーズ・ヨーグルトより納豆・漬け物、サラダより煮物・和え物、ミルク・コーヒーよりお茶、がおすすめだ。
カタカナよりひらがなのメニューを、そして、(大人は腹八分目で)おかずよりごはんが多くなるように食べよう!

2、ハレ(ごちそう)とケ(普段食)
 
 年中毎日、体の健康だけのためにメニューを考えて食べることは困難だ。心の楽し
みも必要である。しかし、今の日本では、うまいけど体には良くない!メニューも多いので、楽しみ中心の食事は週末程度が無難である。「平日は体の栄養、週末は心の栄養」で食生活をアドバイスすると、人々に受け入れてもらいやすい。これが逆転すると、メタボ症候群になりやすいのでご注意を!

3、食生活指導を始める前に
 
 限られた紙面で、大切なことをすべて伝えるのは不可能ゆえ、食生活指導を始める前に必読をおすすめする図書を5冊紹介させていただく。

@はじめよう!歯科医院での食生活指導(幕内秀夫・医歯薬出版)
A保健・医療・教育に携わる人のための食育入門(根岸宏邦・メディカ出版)
B伝統食の復権(島田彰夫・東洋経済新報社)
C自然にかえる子育て(真弓定夫・芽ばえ社)
D現代を生きぬく栄養学(吉田勉・芽ばえ社)

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はじめよう!食育・食生活指導 1 & 2
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