投稿原稿 & Publicity 豊田裕章(豊田歯科医院院長)  TOYODA DENTAL CLINIC
予防健康出版社・発行 ばらんす 2010年 10月号 インタビュー記事  (2010・11・08)
    自分と地球の健康のために   近くのものを食べることから始めよう



ばらんす 2010年10月号 表紙
ウェルネスインタビュー記事 P14
ウェルネスインタビュー記事 P15
ばらんす10月号「ウエルネス・インタビュー」

豊田歯科医院 豊田裕章 先生

自分と地球の健康のために

  〜近くのものを食べることから始めよう〜



「食育」という言葉。最近よく聞きますが、「体が喜ぶものを食べる」といったイメージは浮かぶものの、詳しい内容はよくわからないという人が多いのではないでしょうか? 実は「食育基本法」という法律が2005年に制定され、『国民の食生活においては、栄養の偏り、不規則な食事、肥満や生活習慣病の増加、過度の痩身志向などの問題に加え、新たな食の安全上の問題や、食の海外への依存の問題が生じており、食に関する情報が社会に氾濫する中で、人々は、食生活の改善の面からも、食の安全の確保の面からも、自ら食のあり方を学ぶことが求められている』と書かれています。今回は、食育に熱心な大阪の歯科医師、豊田先生にお話を伺いました。


「食育」という言葉がよくメディアで取り上げられていますが、先生が提唱する食育とは?

「食育には色々な考え方があり、それぞれの意味があるでしょうが、私の考える『食育』は、何をどのように食べるかを学ぶことによって、

@丈夫な体を作る、
A思いやりのある豊かな心を育む、
B地球全体のことを考え、多様な生き物、豊かな自然環境を守っていく、

以上の3点を実践できる人を育てることです。1番目と2番目はよく耳にすると思います。人間が自然界のバランスを狂わせている現在では、3番目がとても重要で、地球全体のことを考えて行動する必要があると思います」

難しいですね。もう少し具体的に教えてください。

私たちは、近くに水や食べ物があるにもかかわらず、あまりにも遠くの水や食べ物を摂りすぎていることを意識したことがありますか? 動物は、自分が食べる物を自分で見つけ、自分で運びますね。人間もできるだけ同じように生きる必要があると思うのです。自分でやればできることを、何かにやらせない、だれかにやらせない。例えば船や飛行機に運ばせないということです。そうすれば、環境への負荷は減りますよね。防虫や防腐対策も最低限で済みます。できるだけ近くのものを、その気候や風土に合った方法で食べることが大切だと思います」

日本で近くのものといえば、例えばお米をもっと食べようということですか?

「皆さんそう思うみたいですが(笑い)、まずは水が一番重要です。なぜなら人間の体の約60%は水分ですから、水が生活や環境に占める割合は非常に大きいのです。皆さんは飲み物をどうされていますか? コンビニやスーパーで購入したペットボトルの水を飲んでいませんか? 外国や日本の遠い場所から空気を汚しながら運んでくる飲み水ですよ。これらは、水道水に比べなんと200から2000倍も高い飲み水なのです。良質な軟水に恵まれた日本に住んでいるのですから、身近な水道水を飲みましょう

では、食べ物はいかがですか?

「近くで採れる食材といえば、お米ですね。輸入に頼る小麦製品のパンは休日の楽しみにし、ふだんはご飯を食べましょうとお話しています。ご飯を中心に、ご飯に合う味噌やしょう油、鰹節、漬物など、日本の伝統的な食品を大いに利用すれば、メタボリックシンドロームの予防や解消にも効果があると思います。パンを中心にすると、洋食系のおかずが増え、かなりの高脂肪食になってしまいます。それから、よく噛んで食べることも大切です。そのためには、“元の姿のわかる食べ物”をできるだけ多く食べましょう。最近、米を粉にしたパンなども見かけますが、食育の観点から見ると、粉にする必要なんてありません。野菜や果物もジュースにする必要はないのです。私たちには丈夫な歯があります。歯を有効に使いましょう。それから、加工品には添加物が使われていたり、元の食材がわからなかったりします。そういう点から考えても、元の姿のわかる食べ物は安心ですね」

なぜ歯科の先生が食育を?

「だれかが食育をしなければいけない時代だと思います。専門的な知識を持った医師は適任ですよね。特に歯科医院なら、健康な人が定期検診などで年齢にかかわらず訪れます。それに、よく噛むことは虫歯や歯周病、肥満の予防になるなど、食べることと歯科のかかわりは非常に深いのです。だから、歯科医師が食育をするのは、ごく当然のことだと思います。『食べるべきものが食べたいものになるように、子どもたちを導き、育成すること』が、大人の役割だと思います。子どもたちが、ハンバーガーやドーナツではなく、ご飯や魚が食べたいものになるように、これからも活動します」

最期に先生の健康法を教えてください。

「自分の健康よりも、周りに迷惑をかけない生き方を心がける…それが私の健康法です。といっても、日常生活が不便になるので、車を手放すことができません。矛盾していますね(苦笑)。日ごろは身近なものを大切にして食べていますが、日曜日の朝は、家族と一緒に近所のおいしいパン屋さんのパンを食べたりします。家族がパンを食べているときに自分だけ頑固にご飯を食べるのも、家族の輪を乱しますからね(笑い)」

取材・編集部/撮影・野田昌伸

Hiroaki Toyoda

1957年大阪市生まれ。
81年福岡県立九州歯科大学卒業。
大阪労災病院口腔外科麻酔科研修医を経て
84年豊田歯科医院を開院。
農林水産省補助事業「食と農の応援団」講師、大阪府・大阪市・堺市栄養教諭「教職入門セミナー」ゲスト講師(2005年〜2007年)などを務める。
歯と体を守るライフスタイル、食生活のあり方、がんや生活習慣病対策、生きがいづくり、身近な環境問題などについての情報発信や講演活動に積極的に取り組む。

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